「西村晃のマーケティングの達人 大繁盛の法則」企業経営・売上アップのヒントを提供

今週のズバリ

月別バックナンバー

1800兆円と200万円のはざまで

2018年1月22日

私も60歳を過ぎて病院通いがスケジュールでかなりのウエイトを占めるようになった。

30代の頃、放送局の職場で深夜の生放送を担当していたから、帰宅は深夜2時、就寝3時、朝8時には起きて9時に出かけて昼間は取材・・・。

時間外手当は200時間分はもらっていただろう。

働き盛りで疲労は感じなかったが、労働時間が長いと一日5食は食べる。番組前にスタッフと打ち合わせを兼ねて一回目の夕飯、帰宅後もの足りず2回目の夕飯に寝酒といった具合だ。

健康診断で糖尿病と判定されて20年以上薬を飲んでいる。おまけに最近早朝高血圧症であることがわかった。

特に冬の朝は200近い。

さらに緑内障も、というわけで近年通院回数が増えたわけだ。

大きな手術や入院こそまだないが、普通の月で病院支払いと薬代で2万円くらいが消えてゆく。

年間にすれば20万円以上だ。

厚生年金を満額近くもらえる人だと年収は税引きで200万円くらいだから、仮に私が年金だけで暮らしていれば、収入の1割は医療費で消えてゆくことになる。

一方でこういう数字もある。

我が国の個人金融資産は1800兆円もあると言う。

実はこの8割くらいは50代以上が保有している。

大雑把に言えばこの国で金持ちとは年配者の事、と言っても過言ではない。

もちろん若い人でも医師や弁護士、IT関係などで高額所得者はいるだろう。

ただそういう人たち個人は富裕者ではあっても、社会全体で富裕層ととらえるのはやはり高齢者ということになる。

また50代と60代を比べると60代になると保有資産はほぼ倍増する。

それはほとんどの高齢者が資産を退職金で増やしているからだ。

50代ではまだこどもの教育費が残り、住宅ローンもある。

それが60代になれば子供も独立、退職金でローンも完済して、通帳の数字上もあるいは気分的にもようやくゆとりが感じられるということだろう。

私は今日の消費感覚は「節約時々贅沢」であると思う。

いま世帯数で見るとだいたい10軒のうち3軒が年金暮らしで、地方に行くほどこの割合は高まる。

こういう家庭では金融資産は持っていても、日々の生活費ではなるべく貯金は取り崩さず、年金収入で賄おうとするはずだ。

将来の病気に備えたり、老人ホームに入ることなども考え、虎の子の貯金には手を付けたがらない。

ただ、たまの旅行や孫たちへのプレゼント、あるいは冠婚葬祭の時には蓄えから支出する。

日頃の年金暮らしとハレの日の消費。

この両面性がシニア消費の本質だと思う。

隔月の年金支給日のスーパーを覗いてみると、そうした日本の消費の今が見えてくる。

この日を待ちわびて高齢者が一斉にスーパーに押し寄せ大変な混雑だ。

我が町にこんなに高齢者が住んでいたのかと今更ながらに驚く光景である。

店側もこの日に合わせて特売を仕込む。今日の消費者の実態をよく計算している。

いま日本経済はおおむね好調とは言いながら、消費は外国人観光客向けを除けば低迷と言われる。

それは、消費者の高齢化による年金暮らし世帯の増加と関係があると私は考える。

年金暮らしでは好景気による所得増も関係ないのだ。

2017年は前期高齢者の数が減り始めた年だった。

そして2018年は後期高齢者人口が前期高齢者人口を上回り始める。

東京五輪が終わった後2024年には、団塊の世代がほぼ全員後期高齢者年齢に達する。

一般に後期高齢者になると、日々の活動が鈍りだすと言われる。旅行など外出が減れば、当然消費支出は衰えてゆく。

主たる収入は年金という家庭は、2020年以降10軒のうち4軒へと近づく。

主たる支出は医療費と介護関係費という家庭が増えるという現実に向き合わなければならない。