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西村晃の路地を曲がれば、もう旅人

第3回 6月 東京 本郷界隈

歴史散策にはふたつの流儀がある、というのが私の持論。
城などをテーマに戦いのドラマをたどる旅、昨年の大河ドラマの会津の旅はその典型だ。
もう一つは文化をたどる旅。
京都、奈良に鎌倉などの寺社巡りはそれにあたる。
都内の歴史散策の場合、上野の山などを除けば前者のテーマは多くはない。
江戸という平和な文化の時代、そして明治以降も文人が愛した場所が歴史散策の舞台だ。

本日も平和な江戸と明治の旅、出発は飯田橋。
日本橋川と神田川の水運、甲武鉄道(現在のJR中央線)の貨物集積の場でもあり栄え、近隣の神楽坂が賑わい、多くの文化人もこのあたりに住んだ。
小石川後楽園は歩いて5分、かつての水戸徳川家上屋敷内に造られた築山泉水回遊式の日本庭園で都心の貴重なオアシスだが、今回は外壁に注目。
江戸城外堀に使われた巨石が石垣に利用されている。
石のあちこちに文字が見えるのは工事をした大名の刻印だ。

後楽園の裏に回ると東京ドーム、そしてそびえるのが「文京シビックセンター」
つまり区役所なのだが、高さ142メートル、28階建て、区役所レベルでこの豪華さは群を抜く。
その前を走るのが春日通り、近くに「春日局」像がある。
三代家光の乳母春日局はこの地を拝領していたのが春日の地名の由来。



春日局像

シビックセンターから北に5分歩くと「こんにゃく閻魔」で知られる源覚寺。
眼病を患った老婆が閻魔大王に祈願したところ、夢の中に大王が現れ、「私の片方の眼をあなたにあげて治してあげよう」と告げた。
老婆の眼はたちまち治り、以来この老婆は感謝のしるしに好物のこんにゃくを断ってずっと閻魔大王に供え続けたと言われる。

白山通りを西方の交差点で渡ると本郷だ。
菊坂という緩やかな下り道が本郷三丁目の交差点まで続く。
この界隈には樋口一葉の旧居跡、彼女が通ったとされる質店「伊勢屋」の蔵、宮沢賢治旧居跡などがある。
さらに「振袖火事」の火元とされる「本妙寺」跡、谷崎潤一郎、正宗白鳥ら文化人御用達ホテルだった「菊富士ホテル」跡など歴史や文学が好きな人にはたまらない散歩道だ。
本郷通りに出ると東大生を対象にした古本屋や喫茶店などが並ぶ。
加賀藩の上屋敷跡を利用して作られた本郷キャンパスの名物「赤門」は加賀藩主に嫁いだ11代家斉の娘のために造られた守護門だ。

また涼を求める人に人気の三四郎池は夏目漱石の小説「三四郎」で三四郎と美禰子が出会ったところだ。
東大を出て本郷通りを歩いて地下鉄本郷三丁目駅に向かう途中、洋菓子店の老舗「近江屋」で一服したい。
シュークリームは安くて人気。
交差点に面した大学最中を売る「本郷三原堂」も健在だ。
江戸から明治まで、時空を彷徨う豊かな散歩道である。


夏でも涼しい三四郎池


小石川後楽園の石垣


石垣には寄進大名を示す文字が刻まれている


遠くからもよく見える文京シビックセンター


手前にこんにゃくが添えられているえんま堂


樋口一葉が通った伊勢屋質店の蔵


東大赤門

第2回 5月 「みさきまぐろきっぷ」で充実日帰りツアー

地元の方はともかく、遠くはないけれどあまり行く機会がないという観光地は多い。
神奈川県の三浦半島などもそうしたところの一つかもしれない。
今日はそんな方にお出かけになるきっかけを紹介する。
海だからやはり快晴の日を選びたい。
休日の朝目が覚めて天気を確認してから出かけてもいいという近場はありがたい。

お薦めは京浜急行が売り出している「みさきまぐろきっぷ」だ。
京急線三崎口駅までの往復と三崎エリアのバス乗車券、それにまぐろ料理の食事とレジャー施設の利用がセットになっていて、品川から3060円、横浜から2960円である。
普通に切符を買えば、品川からの電車往復だけでも1900円かかるのだから激安である。

三崎口からバスを乗り継いで港に着く。
ここまで品川から1時間半ほど、海面にふりそそぐ陽光はまぶしくすっかり旅気分だ。
レジャー利用券では、日帰り入浴、油壺マリンパークなども利用できるが、私が選んだのは「水中観光船 にじいろさかな号」。
半潜水式の船で、水中展望室から魚の乱舞が見られるという。
城ケ島を見ながら沖合まで出て停泊、船頭に誘われて、船室に降りるとそこはもう竜宮城の世界だ。
窓越しの水族館を思わせる魚群に息を飲む。メジロ、メバル、イシダイなどが間近に見られる。
東京湾にこれほどの魚がいるとは・・・。
もっとも後で甲板に上がると船頭が上からエサをまいて魚を集めていることがわかるが、それにしても1時間の船旅はそこそこ楽しめる。



お買い得で人気

陸に上がるとちょうど昼時、マップ片手に食事券が使える店を物色する。
20店余りの店が該当するが、私が入ったのは、「鮨処 魚音」。
食事券が使えるメニューは決まっている。
だいたい2000円相当のものが食べられ、あらためて割安感を実感する。

私が注文したのは「まぐろ三昧丼」。
まぐろの卵、胃袋、心臓、ホホのユッケ、タレが染みた赤身ヅケ、大トロを使ったトロカジキの炙り、ネギトロなどがたっぷりのっている。
十分に満足して店を出てしばし腹ごなしに大漁旗が奉納された神社など漁師町を散策した。
また港には新鮮な魚を売る店も多く、これから年末にかけては買い出し目的でもこの「みさきまぐろきっぷ」は利用価値があると実感した。

予約も要らず陽気に誘われて気ままな小さな旅を楽しめる。

満ち足りた一日であった。


午後は近隣をそぞろ歩き

明るい港


観光船にも乗れる


海の中は竜宮城


食事は提携店


このランチが食べられる