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西村晃の路地を曲がれば、もう旅人

第5回 8月 45年ぶりの下田

そうだ!下田行こう、と思い立った。
正直下田は遠い。
東京から車で4時間以上、おまけに夏場はレジャー客の車で大渋滞になる。
仕事でもあればそれでも行くだろうが、水産関係でもないとあまり用事があるところでもない。
伊豆はせいぜい熱海や伊東くらいまで、というのがこれまで私の常識だった。

下田には一回しか行った記憶がない。
小学校4年生の時の臨海学校だ。
その時は蓮台寺温泉に泊まり外浦海水浴場で泳いだ記憶がある。
市内中心部に女の人が寝ていたという記憶は「寝姿山」のことだろう。
伊豆半島に限らず紀伊半島、能登半島、房総半島といった地形は「半島経済」という言葉があるほど問題点が多い。
流通などがネックで発展が阻害されがちなのだ。
しかし海から上陸する立場から考えれば逆に到達しやすいともいえる。
幕末のペリーの来航は、まさに文明の先端に突き出ていた半島の突端のこの地を一躍歴史のひのき舞台とした。


ペリー提督

黒船でやってきたペリー提督は、了仙寺まで日米下田条約締結の為に行進した。
了仙寺から下田公園への約500m.平滑川をはさむ石畳の小道沿いにはなまこ壁や伊豆石造りの風情ある家並みが続く。
これを「ペリーロード」と呼んでいる。
了仙寺はジャスミンの花が咲き乱れる5月がお薦め、その香りは素晴らしい。
また下田城があった小高い山が下田公園だが、ここのアジサイも見事、6月はアジサイ祭りでにぎわう。


了仙寺

了仙寺は5月ジャスミンが満開

条約締結後、総領事として下田に駐在したのがタウンゼント・ハリス。
下田玉泉寺に領事館を構え、大統領親書の提出のために江戸出府を望むが、水戸藩の徳川斉昭ら攘夷論者が反対し、江戸出府は留保された。
しかし1857年7月にアメリカの砲艦が下田へ入港すると、幕府は江戸へ直接回航されることを恐れてハリスの江戸出府、江戸城への登城、将軍との謁見を許可する。
ハリスは10月に登城し、13代将軍の徳川家定に謁見して親書を読み上げている。


総領事のあった玉泉寺

その前、幕府はハリスの江戸出府を引き止めさせるため、ハリスを篭絡しようと芸者のお吉という名の女性を派遣した。
役人の意図を見抜いたハリスは大変怒り、お吉をすぐに解雇している。
ハリスが生涯独身であったことなどから後世に誤った風説が加わり、昭和初期には「唐人お吉」としての伝説が流布し、小説や映画の題材にもなった。

ハリスは日本人を「喜望峰以東の最も優れた民族」と評し、「世界のいかなる土地においても、労働者の社会の中で下田におけるものよりもよい生活を送っているところはほかにあるまい」と日記に書いた。
お吉の菩提寺が宝福寺で、敷地内にはお吉記念館がある。

下田一風光明媚なのが、爪木崎(つめきさき)、突端には爪木埼灯台が置かれている。
夏季は海水浴で、冬季は12月下旬から1月にかけて水仙の群生を見る観光客で賑わう。


爪木崎

下田ロープウェイで中心部にある寝姿山に上がる。
下田の入り江が一望できる。
山が囲みその懐深く海が入り組む。
海から押し寄せた歴史の咆哮を飲み込んだ下田、何事もなかったような穏やかなたたずまいの漁港である。


ペリーが入港した下田の入り江




ペリーロードはなまこ壁やレンガつくりが残る


宝福寺

第4回 7月はここがお薦め「北海道ガーデン街道」

緒形拳さんの遺作「風のガーデン」というテレビドラマが懐かしい。
舞台は北海道富良野。
ここちよい風に揺らめく花々が魅力的だった。
その「風のガーデン」は新富良野プリンスホテルの敷地内に実在、2万株の花々が訪れる人々を楽しませてくれる。


ドラマの舞台は健在、風のガーデン

ここを中心に旭川から富良野、十勝まで200キロの間に点在する7つの庭園を巡る北海道ツアーが近年人気だ。
ちょうど8月半ばくらいまでが花の時期として最も見ごろである。
本州方面からのゲートウェイは旭川空港か、帯広空港となる。
新千歳空港からでも高速道路がつながり2時間くらいで最初のガーデンに立てる。
旭川空港からの最初は「上野ガーデン」。
イギリスでガーデンを学び「風のガーデン」もプロデュース、一躍有名になった上野砂由紀さんが経営する。
「北海道ガーデン」は北国の気候と風土に合った庭つくりが特徴、その魅力の発信に上野さんは先頭に立つ。
ここから南下すると次が「風のガーデン」。
この辺りは「パッチワークの丘」や「ケンとメリーの木」などに立ち寄っても北海道気分を満喫できるし、「北の国から」のロケ地めぐりも定番だ。


上野ファーム

さらに南下して十勝平野へ。
大平原で緑豊かな畑と牧草地で知られる十勝になぜ庭園が多いのか。
明治のころ入植した開拓団が鍬をふるい続けた結果、原生林は姿を消し台地は一度丸裸になった。
街に緑を取り戻そうとこの地に会う樹種の研究を行った結果独特の庭園ができたという。
「真鍋庭園」は明治26年の入植、いまは3代目が経営する。
2万4千坪に数千品種の植物が配されるが、なかでも500種以上の針葉樹は圧巻。
87歳の主人、紫竹昭葉さんがみずから見学者を案内する「紫竹ガーデン」は春のチューリップの名所が夏には背の高い宿根草ガーデンに一変する。
地元の豆や穀類を扱う商社が経営する「十勝ヒルズ」はレストランも充実する。
おなじく帯広の代表的菓子メーカーが経営する「六花の森」にはあの有名な包装紙に描かれた植物が咲き誇り、絵の作者坂本直行の美術館も園内にある。

ガーデンの旅の締めには雄大な「十勝千年の森」がふさわしい。
日高山脈を借景にしたスケールの大きなこの庭園はイギリス人ダン・ピアソンが設計、本家の最高権威「英国ガーデンデザイナーズ協会」が昨年最優秀と認定した。
すべて回るには1泊、できれば2泊すれば十分に北海道を満喫できる。
新しいタイプの北の大地の旅が熟年世代を中心にブームになりつつある。





熟年ツアーに人気のガーデンめぐり


六花の森


十勝千年の森で人気の
電動二輪車セグウェイ