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第14回 5月 「下町でバラと新緑を愛でる小散歩」

東京のバラの名所に出かけたい。
バラフェスティバルが有名なのが東京北区にある「旧古河庭園」だ。
京浜東北線「上中里」、あるいは東京メトロ南北線「西ヶ原」から歩いて7分、本郷通りに面している。
ここは明治の元勲陸奥宗光邸だったが、宗光の二男が古河財閥の養子になって以来、古河家の所有となる。
洋館と洋風庭園の設計は鹿鳴館やニコライ堂なども手掛けたジョサイア・コンドルだ。
この時期90種のバラが見事な洋風庭園と、心字池を中心にした和風庭園がありうまく調和している。


旧古河邸 バラが見頃
洋館はジョサイア・コンドル設計

本郷通りを5分ほど歩き、信号のある交差点を右に入ると昭和レトロの面影漂う「しもふり商店街」が続く。
「しもふり」と言っても「肉」ではない。
かつて巣鴨方面から上野不忍池に流れ込む谷田川に架かる橋が「霜降橋」だった。
川が埋め立てられて道路となり、その両側に商店街が形成された。
和菓子やコロッケ、メロンパンなどを売る昔ながらの人情商店街が続く。
下町散策に昔ながらの商店街歩きは欠かせない。
内田康夫の小説に登場する浅見光彦はこのあたりに住んでいるという設定で、毎年5月にミステリーウォークが開催される。
本郷通りに戻り、さらに進むと右に「小松庵総本家」、大正11年創業の老舗手打ちそば店だ。
生粉打ちせいろが人気。

その先は、橋の下を山手線が交差する駒込駅前である。
この辺りは江戸時代染井村と言われ、植木職人が多く住む園芸の里だった。
彼らが作りだした品種が「ソメイヨシノ」で、駒込駅前には「染井吉野桜記念公園」がある。
近くの西福寺に墓がある8代将軍吉宗お気に入りの植木屋伊藤伊兵衛正武はツツジを江戸に広めたが、駒込駅はいまも日本一見事なツツジが見られる駅として歴史を裏付ける。

さて、駒込と言えば「六義園」である。
5代綱吉のお気に入りだった柳沢吉保が造営した回遊式築山泉水庭園。
2万7千坪の広大な土地に山を築き、橋を架け、和歌の詠む自然を再現した。
「六義」とは紀貫之が古今和歌集の序文に書いた和歌の六つの基調を表す言葉に由来する。
素晴らしい庭園に綱吉のお成りは実に58回に及んだ。
たしかに四季折々に訪ねてみるだけの自然の魅力に富んでいると推薦したい。


六義園