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西村晃の路地を曲がれば、もう旅人

第35回 11月 つくば路を行く

シニアのドライブ旅で重要なポイントはラッシュを避けることだ。
気が短い私は渋滞が大嫌い(好きな人はいないか)。
若い家族連れならば連休などに出かけざるを得ないが、定年後の気楽な一人旅はそんなときに行く必要もない。
観光地へは平日早朝出発が原則だ。

横浜の自宅を6時に出て、朝のラッシュ前に東京を抜ける。
常磐道那珂インターチェンジから国道118号線を久慈川沿いに進むと、およそ3時間半で袋田の滝に着く。

華厳滝、那智滝とともに日本三名瀑に数えられる袋田の滝は高さ120メートル、幅73メートルと豪快。
西行法師が「四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と評したという。

私は新緑の時期と氷結の時期に次いで今回が3回目だったが、カエデやモミジの紅葉が始まりなるほどまた別の魅力を味わうことができた。
11月3日からはライトアップも楽しめる。


袋田の滝

国道461号から常磐道へ。
北茨城ICで下り、五浦(いづら)海岸に向かう。
近代日本美術の発展に尽くした岡倉天心はこの地に邸宅と六角堂を建て、日本美術院の拠点とした。
横山大観らをここに呼び、新たな日本画を目指した。
天心思索の場六角堂は、東日本大震災の津波で流失したが1年後に再建されている。
クルマならすぐの所に「天心記念五浦美術館」がある。


海岸近くにある六角堂

このあたりの冬の醍醐味は「アンコウ」だ。
底引き網にかかるアンコウは肝のおいしいこれからがシーズン。
近くの五浦観光ホテルでは11月から冬の間「吊るし切り解体」を実演している。
アンコウは表面がぬるぬるしているのでまな板では調理しづらいため、下あごを金具で吊るして捌くのが基本だという。
JR大津港駅周辺には「アンコウ」を食べさせてくれる民宿や料理旅館が多い。


アンコウ鍋は北茨城の冬の味覚

今夜の宿は、常磐道那珂ICからクルマで5分の「なか健康センター」と決めてきた。
ここは24時間営業の温浴施設で宿泊も食事もできる。
なによりここでは午後と夜の2回演劇と舞踊のショーが上演される。
ひと月単位で演目が変わるのでリピーター客も多い。


インターチェンジ近くで駐車場も広い「なか健康センター」は24時間営業

「地方都市なのでクルマで移動する人も多く、ここでお風呂に入り、そのまま忘年会をして翌朝出勤する人も多いんです」
と宮野由美子社長。

ひとり旅だと旅館では気兼ねしがち、ここは大部屋の仮眠室のほかに個室もある。
何度も入浴し、マイペースで夜を過ごすことができた。
翌朝、朝食も大広間で食べ、満足のうちにチェックアウト。


演芸場が大当たり

今日はまずここからクルマで30分ほどの国営ひたち海浜公園へ。
公園総面積は350ha、TDLの5倍という広さだ。
アメリカ軍の水戸射爆撃場の跡地を整備した。
四季折々の花が美しいことで知られる。
私が行った時にはキバナコスモスが見ごろだった。
11月はバラ、イソギク。メタセコイアの紅葉も美しい。

これから笠間経由で筑波山へと向かうことにする。
関東に住んでいても今回の袋田の滝や五浦海岸、そして筑波山などわざわざ行く機会がなかった。
圏央道や、北関東自動車道といった広域環状高速道路の整備でそうした観光地に出かけやすくなった。

北関東自動車道で笠間へ。
陶芸の街として知られるが、最近は若いアーチストがモダンな店を出しており、散歩していても楽しい。
斬新な色遣いの急須や湯飲み茶わんを手に取りながら小一時間を過ごした。
笠間焼の器でサービスしてくれるお洒落なカフェでランチの後、筑波山までは1時間ほどでたどり着く。

筑波山は西側の男体山にはケーブルカー、東側の女体山にはロープウエイがあり、二つの山頂は30分ぐらいで歩くこともできる。
今回は筑波スカイラインで上り、女体山頂だけロープウエイで往復することにした。


女体山山頂まではロープウエイで一直線

標高877メートルの山上からの景色はさえぎるものがない。
関東平野の広さを十分に感じることができた。

筑波山といえば「ガマの油」を思い出す。
ロープウエイ駅の近くにはガマの洞窟というお化け屋敷のようなものもある。
ガマガエルから分泌される脂は鎮痛作用があるとされたことが起源と言われる。
江戸時代に香具師がガマの油を売る口上が有名になり、落語の題材にもなった。
近年「筑波山ガマの油売り口上」は、つくば市の地域無形民俗文化財として認定された。

茨城の旅の締めは何と言っても納豆だ。
常磐道の友部サービスエリアで納豆の土産を何種類か買った。
藁つつみの納豆は喜ばれそうだ。
海あり山あり起伏に富んだ茨城のドライブを満喫した。


筑波山上からの景色はさえぎるものがない