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西村晃の路地を曲がれば、もう旅人

第36回 1月 冬 伊豆紀行

そうだ!冬でも暖かい伊豆へ行こう、と思い立った。
横浜の自宅からまず大磯の旧吉田茂邸を目指す。
吉田元総理の本宅が改築、2017年4月に公開されて以来人気を呼んでいる。
戦後要人との会談の舞台となった応接棟や吉田氏が過ごした書斎や寝室なども見られる。
窓から見える相模湾と富士山は素晴らしい。


再建された旧吉田邸

大磯から西湘バイパスに入り小田原へ。
小田原から湯河原にかけては梅林が多く、一足早い春の訪れを楽しむ観光客で賑わう。
吉田邸と並び小田原城も最近リニューアルされ人気だ。
場内の資料展示も一新し小田原北条氏の歴史や戦国時代の小田原城の様子をわかりやすく学べるようになったが、とくに最近の調査で江戸時代の小田原城天守最上階に武士の守護神として信仰されてきた「摩利支天像」がまつられていたことが明らかになり、今回安置された。
夜にはライトアップされ光と音のファンタジーショーが行われるなど、城を使った観光面での工夫が随所に感じられた。


小田原城

小田原見物の後、国道135号線を南下し伊豆を目指す。
雲一つない晴天で海も穏やか、熱海を過ぎると初島がくっきりと見える。
伊東から大室山へ向かう。
標高580メートル、中央に深さ70メートルの火口跡が残るお椀上に美しい火山だ。
リフトで山頂に登ると四方の絶景が楽しめる。
およそ4000年前に大室山が噴火し、流れ出た溶岩が荒々しい海岸線を形成したところが城ケ崎だ。
断崖絶壁を見ながら歩く遊歩道も整備されている。

海を見ながらの連続カーブを抜けていくと河津町に入る。
「伊豆オレンジセンター」で休憩。
ここはミカンを使った土産物を中心に集めている。
みかんにはちみつを加えた「ウルトラ生ジュース」400円は爽やかだった。


伊豆オレンジセンターのウルトラ生ジュース400円

今夜の宿「伊豆今井浜東急ホテル」にチェックイン。
このホテルは砂浜に面しており海水浴シーズンはもちろん、三世代が別荘感覚で利用できる滞在型施設だ。
全館134室はオーシャンビュー、1階が和室、2階が洋室ベッドルームというメゾネットタイプの部屋も多い。
四季を通じて海岸を眺めながら滞在、読書室などでくつろいで自宅同様に過ごす人もいる。
3食ここで食べる人のためにランチメニューにも力を入れている。
季節代わりのシーズンランチの「冬」は、揚げ胡麻豆腐やサーモンの昆布じめなど工夫した料理が並び、デザートも充実して女性にも人気だという。


全室オーシャンビューの伊豆今井浜東急ホテル

「伊豆今井浜東急ホテル」の目覚めは潮騒がBGMだ。
プライベートビーチのようにホテルの敷地から海岸へ出られる。
夏は海水浴客でにぎわうが、還暦を過ぎるとシーズンオフの海の方が落ち着く。


ホテルから直接浜辺に出られるのも魅力だ

このホテルからは河津桜見物が便利だ。
河津桜とはカンヒザクラ系とオオシマザクラ系の自然交配による種類。
60年ほど前、地元の人が桜の苗を偶然発見して自宅の庭先で植え始めたことからこの名前が付いたという。
濃いピンクの花びらが特徴で2月上旬ごろから3月まで一か月くらい楽しめるのが特徴。
河津川沿いのおよそ4キロに800本が咲き誇る。


河津桜は濃いピンクが特徴

また少し山あいに入ったところにある「河津バガテル公園」もお薦め。
ここはフランスパリのブーローニュの森にある「バガテル公園」のバラ園と姉妹園で、ローズガーデンは1100品種6000株のバラが植栽され、左右対称の幾何学模様が特徴の本格的フランス庭園だ。
バラのシーズンは花が咲き乱れ、その美しさに圧倒される。


河津バガテル公園

今井浜から下田へは30分ほど。
夏は1車線の国道は渋滞するが、冬はスイスイと流れる。
「大人のクルマ旅」は冬にのんびり旅行すれば伊豆の本当の良さを満喫できる。
陸路ではアクセスがとかく難しい半島だが、海から上陸するのは逆に簡単なのかもしれない。

幕末のペリーの来航は半島の突端のこの地を一躍歴史のひのき舞台とした。
黒船でやってきたペリー提督は、了仙寺まで日米下田条約締結の為に行進した。
了仙寺から下田公園への約500メートル。
平滑川をはさむ石畳の小道沿いにはなまこ壁や伊豆石造りの風情ある家並みが続く。
これを「ペリーロード」と呼ぶ。


なまこ壁の建物などが並ぶペリーロード

下田城があった小高い山が下田公園だが、ここは6月にアジサイ祭りでにぎわう。
条約締結後、総領事として下田に駐在したのがタウンゼント・ハリス。
「玉泉寺」に領事館を構え、大統領親書の提出のため江戸に行きたいと要求を突きつける。
それに対して攘夷論者が反対、幕府は時間を稼ぎ回答を保留するが、1857年アメリカの軍艦が下田へ入港すると、幕府はついにハリスの江戸城への登城、将軍との謁見を許可した。
ハリスは13代将軍の徳川家定に謁見して親書を読み上げている。

玉泉寺は町の郊外にあるこじんまりとした寺だった。 ここがアメリカ領事館だったとは少し驚く。


こじんまりしたこの玉泉寺にアメリカ領事館がおかれた

本日は、下田公園の後方の高台にある「下田東急ホテル」に宿泊する。
ホテル客室の窓から眺める入り江の景色は素晴らしい。
かつて昭和天皇も泊まり、三島由紀夫の定宿でもあったというこのホテルは創業55年を機に大改装し、今年春にリニューアルオープンした。
ソテツやヤシなど亜熱帯樹と青い海の風景を見ると、なるほどリピーターが多いというのもうなずける。


全面改装した下田東急ホテル

夕飯に、「55周年記念メニュー」として伊勢海老にアワビ、金目鯛などふんだんに地元産の魚介類を使ったブイヤベースをメインにした和洋折衷のコースをいただく。
トマトベースの味が程よく、中高年にも抵抗なく食べられると思う。
満足のうちにあっと言う間に眠りに就く。


魚介のフィッシャーマンズスープは夕食メニューのメイン

日の出は、朝の露天風呂で迎えた。
太平洋に上がる朝日は雄大、視線には空と海と太陽のみ。
独り占めの贅沢を満喫できた。
今年春から始めた100種類を超える朝食ビュッフェは、旅が多い私もあまり経験がない印象に残るものだった。
「優雅な朝食」と名付け、寿司に酒まであるという豪華版だ。

「時間を忘れゆったりとした気分で朝食を楽しんでいただきたいという当ホテルの気持ちを込めました」
と山本貴之総支配人。


下田東急ホテルの部屋からの眺め


チェックアウト後、下田市内を散歩。
「下田開国博物館」は江戸時代末期から明治にかけての黒船や下田の役割をわかりやすく学ぶことができる。
「日新堂菓子店」で三島由紀夫がこよなく愛したマドレーヌを買い、ロープウェイで寝姿山に登る。
ここの展望台からは港が一望でき、ここが歴史の玄関口であったことをあらためて感じることができる。


三島由紀夫が好んだという日新堂のマドレーヌ

下田からの帰路は一転して山中に入る。
「伊豆の踊子」で知られる国道414号線、通称下田街道を抜ける「天城越え」である。
修善寺付近から自動車専用道となり東名高速につながったため伊豆の道路事情もかなり改善している。

早春の桜で知られる河津から「河津七滝(ななだる)ループ橋」へ。
昭和56年に完成した高さ45メートル、全長1064メートルの2重ループ橋だ。
河津七滝は渓流に連なる滝の総称、遊歩道もあるし、大滝は天城荘の日帰り入浴で温泉に浸かって眺めるのがお薦め。


ダイナミックなループ橋

「道の駅 天城越え」で「わさびソフトクリーム」を食べ一休み。
さらに山道を行くと、歌に聞こえた「浄蓮の滝」がある。
高さ25メートルは伊豆最大の名瀑だ。
踊り子の像を写真に撮ると、2日間の伊豆巡りもそろそろ終わりである。


伊豆の踊子像

浄蓮の滝

修善寺から山道を抜けて再び海の見える網代へ。
伊豆名物金目鯛の煮付けを食べていないことに気が付いたのだ。
最後のランチに無事食し、帰路に着く。
「大人のクルマ旅」ならではの自由気ままなコース選択だった。


最後に伊豆名物金目鯛の煮付けを食べる